お口にいいハーブ事典

マスティック

【主な作用】抗菌、抗炎症、抗酸化、口臭抑制、歯周病予防作用など

黄金色に輝く「キリストの涙」

ギリシャ東南部のヒオス島だけに群生するウルシ科の常緑樹で、別名コショウボク。通常は背が低く横に広がる低木ですが、ヒオス島では5m以上の高木に成長します。

毎年7縲鰀9月頃にその幹からしたたり落ちる無色透明の樹液は、時間が経つにつれて粘性のある黄金色の天然ガムに変わります。その形が涙のような形をしていることから、現地では「キリストの涙」とも呼ばれます。

マスティックの木は、ヒオス島以外でも育ちますが、樹液が吹き出すようにしたたり落ちるのは、ヒオス島だけ。火山の噴火でできた土壌の上にマスティックの木が自生していることから、こうした特殊な土壌だからこそ、特別な薬効を持つ樹液が採れるのではないかと考えられています。

世界25カ国で医薬品として認められている、マスティックの効果

マスティックは、古代ギリシャ時代から噛むと歯が丈夫になり輝くほか、口臭を甘い香りにしたり、なぜか胃の痛みが消えると珍重されてきました。

このことが経験的に知られ、ギリシャや地中海沿岸では、5千年も前から植物療法の素材として利用されてきました。

なぜ、マスティックの天然ガムで胃の痛みが消えるのか、その謎は20世紀末になって、ようやく明らかになってきました。1998年、イギリスの研究グループが「マスティックの樹木には胃潰瘍の原因とされる細菌、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)を抑制する効果がある」と、世界的医学雑誌『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に発表したのです。

以降、マスティックは世界中の研究者の注目を集めるようになりました。現在では欧米をはじめ世界25カ国で薬の成分として使用され、傷口を殺菌する軟膏、手術用糸、歯周病用の歯磨き剤、日焼け止め、シャンプーやローションにも用いられています。マスティック配合のワインやキャンディー、パイ、アイスクリームもあります。